サンゴに関しての解説ページです。

色々な形や模様を作り鮮やかに海を彩る不思議な生き物について触れてみましょう。

目次

Ⅰ サンゴ解説(基礎知識編)

サンゴがどんな生き物なのか生態や形態、用語について解説しています。教科書的な解説です。

 

Ⅱ サンゴ観察の手引き(実践編)

フィールドでサンゴの観察する際の着目点などを紹介しています。

 

Ⅲ 観察できるサンゴの紹介

簡単な図鑑的な内容でツアーで観察できるサンゴを紹介しています。

 

Ⅳ フィールド観察したサンゴを調べる

観察したサンゴを調べる際に役立つ情報を紹介しています。

Ⅰ サンゴ解説

サンゴってどんな生き物?

・サンゴはイソギンチャクやクラゲの仲間硬い骨格をつくる生き物

 

ポリプの構造 と 褐虫藻 

・触手を持ったイソギンチャクのようなポリプという形態

・多くのサンゴは光合成を行う褐虫藻共生している。

 


サンゴはクローン集団

・多くのサンゴは沢山のクローン個体から成る群体である

 


サンゴの増え方

サンゴの増え方は有性生殖無性生殖がある

 

サンゴの白化

白化現象とはサンゴの体内から褐虫藻がいなくなりサンゴの骨格の色が透けている状態

・褐虫藻は高水温などの外的ストレスによってサンゴ体内から離れる

・褐虫藻がいなくなるとサンゴは栄養不足になり、長く続くと死滅する。

 

大規模な白化現象が起きた2016年の状況


Ⅱ サンゴ観察の手引き

サンゴ群体の形状を観察しよう

様々な形のサンゴがあり、どのタイプのサンゴなのか観察してみましょう

 

サンゴ群体の形状と分布

どのような場所にどんな形状のサンゴが多いか観察してみると面白い

・どの形状がその環境に適したサンゴなのか考えてみる

 

サンゴ個体や並び方を観察しよう

【ポリプの観察】

・昼間はポリプを閉じているサンゴが多いが、中には開いているものもある

・ポリプの大きさや形は種により異なる

【サンゴ個体の観察】

サンゴ個体(ポリプを閉じている状態)も色々な形がある

写真を撮っておくと後で名前を調べたりする時に役立つ

 

【サンゴ個体の配列の観察】

サンゴ個体の配列によって様々な模様が観察できる。面白い模様を見つけよう

 

【サンゴの骨格観察】

ビーチで沢山のサンゴの骨格の断片を観察できる

・手にとってサンゴの骨格をじっくり観察できる。

海水面まで成長しきったサンゴの観察

ある一定の高さでサンゴ群体の成長が止まる

輪切りのようなマイクロアトールはまるで人工的に切られたような景観

 

枝状サンゴの大群落を見つけよう

・タイドプールや浅場でも視界一面を覆いつくすような枝状サンゴの群落を見つけれる

・折れた枝が固着して群落を広げていったもので、周辺には折れた枝が散らばっている

 


Ⅲ 観察できるサンゴの紹介

枝状ミドリイシ

 

枝状のサンゴ群体は他のグループのサンゴでも見られますが、ミドリイシの場合は先端の個体(中軸個体)が大きいのが特徴。

 

ツアーフィールドでも穏やか場所から波当たりのよい場所まで様々な場所で見られ、種類や色相も豊富。


テーブル状のミドリイシ

 

「テーブルサンゴ」の代表格。

 

一本の柱のような構造の上に板状に横に広がった形をしている群体。

水深のやや深い礁斜面などに、やや光の弱い環境でも光を受ける面積を広くして生息すると考えられている。


コリンボース状、指状のミドリイシ

 

コリンボース状とは横方向に放射状に張り出した枝から上方向に枝が伸びているような形状で散房花状ともいう。

 

[礁縁部]のかなり浅い場所にも多く大潮の干潮時には海面から露出している場合も多い。

種類、色相ともに豊富でピンクや紫、青など様々な色の群体を観察できる。

 

白化しやすいサンゴのひとつで、海水温が上がると一番始めに白化する。世代交代が頻繁な種であると思われサンゴ礁の基盤となる死骸の骨格供給に大きく寄与するのではないかと思う。ツアー中にも白化している群体や新しく地盤に固着したであろう小さな群体を見ることができる。

 

造礁のメカニズムやサンゴ礁生態系といった踏み込んだ内容まで考察していきたい方には欠かせない種類のサンゴである。


サザナミサンゴ科のサンゴ

 

キクメイシ属、タバネサンゴ属、ナガレサンゴ属、ノウサンゴ属などがこのグループに属する

 

ハチの巣状のキクメイシ、迷路模様のようなナガレサンゴやシナノウサンゴ、脳のような模様のノウサンゴ等模様が面白いものが多く。

 

背の届く浅い場所でも普通にみれるので、間近でサンゴ群体の模様を観察してみてください。


クサビライシ科のサンゴ

 

群体を形成せず単体の個体から成るものが多く、岩に固着しない自由生活型や弱く固着する程度のものが多い。 

サンゴ群体の隙間を観察していると見つけられる。 

キノコの形に似ているのでマッシュルームコーラルとも呼ばれる。


イボハダハナヤサイサンゴ

 

樹枝状の球状の形状。ミドリイシのように先端に大きな個体はなく

大小様々ないぼ状の突起が並ぶ。紫やピンクなど鮮やかなものが多い。【礁縁部】の波あたりのよい浅瀬で観察できる。


チリメンハナヤサイサンゴ

 


アザミサンゴ

 

昼間でもポリプを伸ばしている。攻撃性が強く他のサンゴをスイーパーという触手で攻撃するため他のサンゴ群体と隣接しない。

色相が豊富で、ツアーで行く場所では緑色と薄紅~白色の群体をよく見る


ユビエダハマサンゴ

 

枝状のハマサンゴ属のサンゴ。

枝が折れ、折れた枝が再固着し群落を広げていくので、単一種で大規模群落を形成する。

群体を形成するサンゴ個体はサイズが小さく表面が滑らかで昼間でもポリプを開いている場合もある。


ハマサンゴ属の塊状サンゴ

 

環境変化に強く長い年月をかけ巨大な群体を形成する。

上方向への成長が進み、上部は生きていけない浅さまで達して骨格のみになっているマイクロアトール状のものも多い。

群体を形成するサンゴ個体はサイズが小さく表面が滑らかで昼間でもポリプを開いている場合もある。


ハナガササンゴの仲間(?)

 

昼間でも数cm程の長いポリプを伸ばしているので、波にユラユラ揺れてサンゴだとは思わない方もいるかもしれません。



ソフトコーラル

 

硬い骨格をもたず細かい骨片を体内にバラバラの状態で持っているものの総称。

 

柔らかいので水中でユラユラ揺れているのを観察できます。

色相は黄色やピンク、紅色など鮮やかなものが多く、形状はキノコのような形や枝サンゴのような形をしているものまで様々である。

 

パイオニア(先駆種)の性質を持つと考えられ、サンゴ群落の中の枯損した隙間などに生息している場合があり、まとまった小群落を、作りお花畑のような景観を作る。

 


葉状サンゴ


被覆状サンゴ


Ⅳ フィールド観察したサンゴを調べる

サンゴの正確な分類は難しく骨格を拡大して見ないと分からないものや曖昧なものも多いです。

フィールド観察でも、特徴的なものや、グループを見分けることができる場合もあります。

何よりも、図鑑や資料をみながら、観察したサンゴの特徴などを確認することで理解が数段深まります。

ぜひチャレンジしてみてください。

 

フィールド観察では気になったサンゴをスマホ等で撮影しておくとよい

全体写真、群体の形状や色、サンゴ個体の形や配列、観察した環境(タイドプール、波打ち際、水深等)、ポリプ(開いている場合) 等を記録しておくとよい

 

・似たようなサンゴが多く、同じ種でも色が違ったりするので、できるだけ複数の図鑑や資料を見比べる

観察したサンゴの名前を調べたりする際に役立つWEB上で閲覧できる信頼度の高そうな図鑑の紹介です。

 

喜界島の有藻性サンゴ類~生きているサンゴを見分けよう~ フィールド図鑑(WEB版

(リンク先)NPO法人喜界島サンゴ礁科学研究所HP 

 

日本の有藻性サンゴ類~種子島編~

(リンク先)国立環境研究所HP