産卵後約2ヶ月で卵が孵化し、砂中を脱出し地上に這い上がってきます。
子ガメはピップ(卵の殻を割ること)し卵からでた状態で数日間砂中にいてその間に次々と他の子ガメも卵を割ります。
卵が割れると、卵中の羊水や老廃物、水分が漏れ重力により砂の中に浸透していくため卵室内には空間ができます。空間ができると子ガメが動くと上部の砂が少し陥没するので、砂浜の表面が凹みます。
卵の位置を把握しておけば、この表砂の変化より子ガメの脱出のタイミングを予想できます。
〔写真-脱出直前の砂浜表面の陥没状況(沖縄島)〕
砂の温度が低くなると子ガメが顔を出します。
始めに1個体が顔を出した状態で待機し、下から他の子ガメが這い上がってきて数十個体同時に海を目指します。
顔をだしてから、地上に脱出するまでは数時間かかることもあり、写真の脱出観察をした時も3時間以上待ちました。
〔写真‐顔をだしたアオウミガメ(沖縄島)〕
ある程度の個体数が揃うと一斉に地上に脱出してきて海に向かって進んでいきます。
100以上の子ガメが、30~40個体ずつ3,4回に分けてでてきます。
〔動画-アオウミガメ脱出の様子(沖縄島本部町)〕
地上に這い上がった子ガメは光に向かう習性(走光性)を持ち、わずかな光をたよりに海の方向を感知します。
ですので、ライトを照らすと方向を見失い迷走することがあります。
海岸の人工的な明かりや見物者の懐中電灯の光などで迷走し、翌朝になっても海に辿り着けなかった事例もあるようです。
〔写真-海に向かうアカウミガメ(屋久島)〕
脱出時から一定時間は子ガメはフレンジ-と呼ばれる一種の興奮状態であり海ににでて外洋にでるまでは激しく手足を動かし続けます。天敵の捕食から逃れるか、ウミガメにとっては生死をかけた行動になります。
〔写真-海に向かうアカウミガメ(沖縄島恩納村)〕
子ガメの足跡も残ります。
産卵巣の付近は多くのカメの足跡が重なっています。
子ガメの足跡は親ガメの足跡より浅いためすぐに消えてしまいますので観察したいなら脱出した翌日などに観察するのがよいでしょう。
〔写真-アカウミガメの足跡痕跡(沖永良部島)〕