シュノーケルポイントについての詳しい解説ページになります。サンゴやサンゴ礁地形に主眼を置いた解説です。
ツアーの参加の検討材料 や ツアー参加後にどんな場所を観察したのか理解を深める資料 としてお役立てください。
【サンゴ礁地形】
・裾礁というサンゴ礁で行う
・10~50cm程度程度の水深の礁池を歩いて礁嶺付近まで行きシュノーケリングを行います。
陸から礁池と呼ばれる浅海があり、その沖にサンゴの骨格などが堆積して盛り上がった防波堤のような礁嶺がある。
海岸線から礁池、礁嶺のエリアを礁原といいます。
・クチ(サンゴ礁の割れ目のような地形)が本ツアーのシュノーケリングポイント。
・礁池と外洋が繋がるエリア、様々な地形やサンゴ、魚類を観察できる。
サンゴ礁には外洋と繋がった割れ目のような地形が多くみられ、礁池の中にまで食い込むような大きなものをクチと呼びます。
干潮⇔満潮 の潮汐により礁池内の海水が外洋に流出したり、流入する際の通り道になる。
主な特徴としては
・観察できるサンゴの種類が多い
外洋と繋がっているためサンゴの種類が多く、礁地でみられる巨大なサンゴ群に礁縁や礁斜面でみられるサンゴが混在するような場所。
・バラエティー豊かな水中景観を楽しめる
クチの陸側から外洋側に向かって地形やサンゴの分布が変遷し、クチの中心部は深く、縁は浅い。グルっと一周泳げば多様な水中景観を楽しめる。
・波の影響を受けにくい
礁嶺が沖にあるので外洋の波があまり入ってこないため比較的穏やか
・潮どうしがよい
潮の干満差により海水の通る道になるので、水質が保たれ、多くのサンゴの卵や魚が流入してくる。ただし、時間を誤れば遊泳が危険なレベルに潮が流れるので注意が必要。
多様な景観を楽しめる場所で、1時間程の遊泳で下で紹介する見どころを一通り泳げます。
【エダサンゴの巨大群落】
・ユビエダハマサンゴのほぼ単一種から成る群落。
・サンゴの密度と群落の大きさが見もの。視界一面を生きたサンゴが覆う光景は圧巻です。
・上面は海面付近まで成長している。海面に浮きながらでも間近でサンゴを観察できるのもよい。ポリプを開いている個体もあります。
視界一面を覆うほどユビエダハマサンゴが密生する大規模な群落。
ユビエダハマサンゴは礁池内の穏やかな環境で見られるサンゴで、波などにより折れた枝が再び地盤に固着し成長し群落を広げる。
クチの切れ目の一番奥にあたる場所で台風などのうねりが外洋から入ってくる場所なので枝がどんどん折れて群落を広げていると思われる。
隙間にソフトコーラルや他種のサンゴ群体も若干見られるがほぼ単一種で構成された大規模群落。
群落の上部は海面近くまで高まっていて、海面からでも間近に観察できるのも良い。
群体を形成するサンゴ個体はサイズが小さく表面が滑らかで昼間でもポリプを開いている場合もある。群落の周辺には折れた枝や、それが再固着している様が観察できる。
【礁嶺の切れ目】
・サンゴ礁の外側(外洋側)斜面に見られるドロップオフのような景観。
・大きな魚類やダイナミックな景観を観察できる。本格的なスキンダイビングができる。
水深1m程度の平坦な浅場から10~20m程度水深までのほぼ直角の断崖のような地形。
礁斜面のドロップオフのような地形。
浅場はコリンボース状、テーブル状のミドリイシ属などが多い。断崖部には無数の横穴があり夜行性の魚類が隠れていたりイセエビなども見つけれる場合がある。
外洋と近い場所で大きな魚や稀に回遊魚も入ってくる。海面から崖の下を覗いても、スキンダイビングで断崖を下から眺めてもアドベンチャラスな景観。
【クチの縁部】
・水深1mほどの浅い砕波帯で波あたりの強い環境でも生きていけるサンゴが主体のエリア。
・様々な形状、色相のサンゴを観察できる。
・サンゴ群落の更新が顕著なエリア。
クチの縁の浅いエリア。
水深1m程度の平らな浅場で砕波する場所。
構成するサンゴは多種に及び、コリンボース状、枝状、テーブル状のミドリイシやハナヤサイサンゴなど色相も豊富。
白化しやすく、波の物理的なストレスも常に受ける場所で場所や時期によっては白化や枯損している群体も多い場所。
サンゴが生きていくうえでは不安定な環境で、攪乱が頻繁に起きサンゴ群落の更新が顕著なエリア。
サンゴが死滅した後どのように再生していくのか?造礁サンゴの群落の変遷を観察できる場所でもある。
【塊状サンゴ群】
・塊状のハマサンゴが群生する不思議な景色、合間には様々なサンゴが混在する
・一定の水深でサンゴの成長が止まっている
・巨大なサンゴ群体がある
穏やかな場所でコブハマサンゴなど塊状のハマサンゴ属が優占するエリア。
塊状サンゴの隙間にソフトコーラルや枝状、被覆状などの様々なサンゴが観察できる。
干潮時の海水面高まで成長し上部は生きていけず骨格のみになったマイクロアトールが多数みられ、すべてが同じ水深で成長が止まっているのもおもしろい。
かなり巨大な群体を形成し直径数mに及ぶ大きなサンゴ群体も迫力がある。
サンゴの上面は泳ぐのギリギリの水深でサンゴの割れ目なにシャコガイやイバラカンザシなどの定着性生物を観察できる。
【礁池の浅場】
・泳ぐ前の膝丈程度の浅場でもサンゴを海面上から観察できる。
・模様が面白いサンゴが沢山ある。
・海草藻場からサンゴ場への移行帯、サンゴの水平分布を体感できる。
海に浸かりながら進むエリア~器材を装着して泳ぎ始めてすぐのエリア。
浜から沖合にかけての藻場からサンゴ場の移行帯。海草藻場→キクメイシや塊状ハマサンゴ、チリメンハナヤサイサンゴなど内海でも生きていけるサンゴが徐々に増え→枝状サンゴの小群落というように構成種が変化していく、水平分布を観察できる。
膝丈くらいの水深で生きたサンゴを観察できるのでサンゴの生態や構造についての解説なども行うことができます。
【砂地】
(観察のポイント)
・砂地に所々に小規模なサンゴ群落がある。
・海底の砂紋と太陽光が美しい
クチの中央部は底地が砂地になっている。真っ白な砂地に欠損群体が成長した枝状サンゴなどの小群落が点在する。
水深3m程から沖に向かって緩やかな傾斜で水深15m程の深さになり外洋に続く。
青と白の世界に太陽光が射すと神秘的な光景になる。スキンダイビングで海底の砂紋を観察するのもよい。
【ミドリイシ科のサンゴ】
枝状ミドリイシ
枝状のサンゴ群体は他のグループのサンゴでも見られますが、ミドリイシの場合は先端の個体(中軸個体)が大きいのが特徴。
ツアーフィールドでも穏やか場所から波当たりのよい場所まで様々な場所で見られ、種類や色相も豊富。
水深の浅い場所ではシュノーケリングでも間近で観察できるので、枝の形の違いを観察したり、個体の並び方やサイズを観察したりするのも面白い。
テーブル状のミドリイシ
「テーブルサンゴ」の代表格。
一本の柱のような構造の上に板状に横に広がった形をしている群体。
水深のやや深い礁斜面などに、やや光の弱い環境でも光を受ける面積を広くして生息すると考えられている。
ツアーで行くクチには[礁嶺の切れ目][縁部]などに多いが、陸側の礁池内でもところどころで観察できる。
コリンボース状、指状のミドリイシ
コリンボース状とは横方向に放射状に張り出した枝から上方向に枝が伸びているような形状で散房花状ともいう。
[縁部]のかなり浅い場所にも多く大潮の干潮時には海面から露出している場合も多い。
種類、色相ともに豊富でピンクや紫、青など様々な色の群体を観察できる。
白化しやすいサンゴのひとつで、海水温が上がると一番始めに白化する。世代交代が頻繁な種であると思われサンゴ礁の基盤となる死骸の骨格供給に大きく寄与するのではないかと思う。ツアー中にも白化している群体や新しく地盤に固着したであろう小さな群体を見ることができる。
造礁のメカニズムやサンゴ礁生態系といった踏み込んだ内容まで考察していきたい方には欠かせない種類のサンゴである。
【サザナミサンゴ科のサンゴ】
キクメイシ属、タバネサンゴ属、ナガレサンゴ属、ノウサンゴ属などがこのグループに属する
ハチの巣状のキクメイシ、迷路模様のようなナガレサンゴやシナノウサンゴ、脳のような模様のノウサンゴ等模様が面白いものが多く。
背の届く浅い場所でも普通にみれるので、間近でサンゴ群体の模様を観察してみてください。
【クサビライシ科のサンゴ】
群体を形成せず単体の個体から成るものが多く、岩に固着しない自由生活型や弱く固着する程度のものが多い。
シュノーケリング中にサンゴ群体の隙間を観察していると見つけられる。
キノコの形に似ているのでマッシュルームコーラルとも呼ばれる。
【ハナヤサイ科のサンゴ】
イボハダハナヤサイサンゴ
樹枝状の球状の形状。ミドリイシのように先端に大きな個体はなく
大小様々ないぼ状の突起が並ぶ。紫やピンクなど鮮やかなものが多い。【礁縁部】の波あたりのよい浅瀬で観察できる。
【ハナサンゴ科のサンゴ】
アザミサンゴ
昼間でもポリプを伸ばしている。攻撃性が強く他のサンゴをスイーパーという触手で攻撃するため他のサンゴ群体と隣接しない。
色相が豊富で、ツアーで行く場所では緑色と薄紅~白色の群体をよく見る
【ハマサンゴ科のサンゴ】
ユビエダハマサンゴ
枝状のハマサンゴ属のサンゴ。
枝が折れ、折れた枝が再固着し群落を広げていくので、単一種で大規模群落を形成する。
群体を形成するサンゴ個体はサイズが小さく表面が滑らかで昼間でもポリプを開いている場合もある。
シュノーケルツアーでも外せない観察スポットです。
ハマサンゴ属の塊状サンゴ
環境変化に強く長い年月をかけ巨大な群体を形成する。
上方向への成長が進み、上部は生きていけない浅さまで達して骨格のみになっているマイクロアトール状のものも多い。
群体を形成するサンゴ個体はサイズが小さく表面が滑らかで昼間でもポリプを開いている場合もある。
ハナガササンゴの仲間(?)
昼間でも数cm程の長いポリプを伸ばしているので、波にユラユラ揺れてサンゴだとは思わない方もいるかもしれません。
[ユビエダハマサンゴの巨大群落]で見られる。
【ソフトコーラル】
硬い骨格をもたず細かい骨片を体内にバラバラの状態で持っているものの総称。
柔らかいので水中でユラユラ揺れているのを観察できます。
色相は黄色やピンク、紅色など鮮やかなものが多く、形状はキノコのような形や枝サンゴのような形をしているものまで様々である。
パイオニア(先駆種)の性質を持つと考えられ、サンゴ群落の中の枯損した隙間などに生息している場合があり、まとまった小群落を、作りお花畑のような景観を作る。
ツアーフィールドでは[ユビエダハマサンゴの
巨大群落]や[塊状ハマサンゴ群]などにまとまった小群落を形成している。
【葉状のサンゴ】
【被覆状のサンゴ】